AH staff blog

スタッフブログ

アンビエントホームとお客様との家づくり日記をお届けします。

2020.04.23

パッシブデザインのお勉強-ミニ④-

こんにちは、専務の藤本です。
今日は、前回からの続き、パッシブデザインを進める上での目標についてのお話しです。

『健康性から考える目標室温』
 室温を冬や夏のあらゆる時間で一定に保つのは、正直、難しいです。
 人によって求めている過ごし方が違いますし、省エネルギーの観点からも望ましくありません。
 問題は、「その目標値からどこまで許すか?」です。
 これをまず決めるのが「健康性」という側面になると思います。

 近畿大学の岩前篤先生の報告を見ると、断熱性が等級5を超えると健康性が大幅に上昇することがわかります。
 この等級5というのは、例えば温暖地なら「Q値=1.9W/㎡K」(UA値=0.56W/㎡K)くらいになります。 
 (※Q値(UA値)の話は次回お伝えいたします)

IMG_0946.jpg

 このくらいのQ値(UA値)にすれば、建物全体の最低室温が上昇することが原因になっていていると予測でき、
 その中でも特に、居住者が長時間過ごす居室(LDK・寝室・子供室)の最低室温が上昇することが
 影響を与えていると思われます。

 このQ値(UA値)から居室の最低室温を予測すると、
 およそ12℃~15℃となっていると思われ、厳しいですが目標を15℃に設定できるとよいと思います。
 一方、長時間過ごさない非暖房室の気温はこれよりも低くなります。
 いくつかの意見はありますが、暖房室と非暖房室の温度差は5℃以内にできるとよいと思います。

 また夏は、環境省が提案している体感温度によれば、28℃を超えると厳重警戒すべきと言っていますので、
 これを室温にざっくり計算すると32℃くらいになります。
 したがって、夏の居室における最高室温は32℃程度以下にすることが目安になりそうです。

 この室温が実現できれば、健康性のレベルは一定に確保できると考えてよいと思います。
 また、健康影響を考えたとき、冬と夏では、冬の室温をまず確保するべきと考えます。

高い室内環境を実現するためには、室温が大きく影響することがお分かりいただけたと思います。
今回お伝えした室内環境の内容はどれも大切なのですが、
一番知っていただきたかったのは、『体が健康でいられる室温かどうか』です。

オシャレな家は素敵ですし、気持ちが豊かになります。
もちろんそれも大切なのですが、まず一番に、ご自身の体が健康でいられる家かどうかをお考えいただきたいです。
オシャレな家でも、寒く結露する家では、体は不健康になります。
何事も「命あっての物種」ではないでしょうか。

次回は、パッシブデザインに頻出する「重要語句」のお話をしたいと思います。

2020.4.23
y.fujimoto

ARCHIVES